有事の金が持つ普遍的な価値
資産運用を考えるうえで、株式や投資信託といったペーパーアセットだけでなく、実物資産である金に注目する人が増えている。
金は太古の昔からその輝きと希少性によって価値が認められてきた。
最大の特徴は、金そのものが価値を持つ実物資産であるという点だ。
株式であれば発行している企業が倒産すれば価値がゼロになるリスクがあり、通貨であればその国の信用が失墜すれば紙屑同然になる可能性がある。
しかし金にはそのようなリスクが存在しない。
世界中で共通の価値が認められており、どのような時代背景にあってもその普遍的な価値が失われることはないのである。
特に世界情勢が不安定になった際や、経済危機が叫ばれる場面において、金は安全な逃避先として選ばれる傾向が強い。
有事の金と言われる所以は、まさにこの圧倒的な信頼感にあるのだ。
一切の負債を伴わない純粋な資産として金を組み込んでおくことは、何が起きるか分からない現代社会において、精神的な安定をもたらす強力な支えとなる。
ペーパーアセットとは異なる現物の強み
金を持つことの意義は、デジタル上の数字ではない重みを実感できる点だ。
現代の資産運用の多くは、証券口座の画面上に表示される数字の増減で一喜一憂するものであるが、金地金や金貨といった形で現物を手元に置く、あるいは専用の金庫に保管するという行為には、他の投資にはない独特の満足感がある。
これは単なる所有欲の話ではなく、物理的な実体を伴う資産を持っているという事実が強力な防衛策として機能する。
また、金はインフレに強い資産であることは、皆さんご存知だろう。
物価が上昇し、現金の価値が相対的に目減りしていく局面において、金はその希少性ゆえに価格が上昇しやすい性質を持っている。
つまり、一生懸命働いて貯めてきた資産を守るための保険としての役割を果たしてくれるのだ。
投資効率だけを考えれば、配当や利息を生まない金は不利に見えるかもしれない。
しかし、資産を守るという守備的な観点から見れば、金以上に信頼のおけるパートナーは存在しないのである。
ポートフォリオにおける守りの役割
理想的な資産運用とは、攻めと守りのバランスが取れている状態を指す。
新NISAなどを活用して積極的に株式市場の成長を取り込みつつ、その対極にある金を持つことで、資産全体の変動をマイルドに抑えられるのである。
金は一般的に株式市場と逆の動きをする、あるいは相関が低いと言われている。
そのため、株価が大きく下落するような不況時においても、金の価格が維持されるか、あるいは上昇することで、資産全体のダメージを最小限に食い止めてくれるのだ。
これは長期間にわたって資産を形成していくうえで、非常に重要な戦略となる。
どれほど大きな利益を狙える投資先があったとしても、守りが手薄であれば一度の暴落で全てを失いかねない。
資産の5パーセントから10パーセント程度を金として保有しておくことで、市場の荒波に左右されない強固な土台を築ける。
金を持つということは、単に儲けを出すためではなく、将来にわたって自分と家族の生活を盤石なものにするための、賢明な自己防衛策だと言えるだろう。