昔のように食べられなくなった
年齢を重ねるとともに食べられる量が少なくなってきた。
例えば、二郎系ラーメンが大好きなのだがいつもと変わらない量で、尚且つ食欲、体調も万全だったにもかかわらず、完食したころには胃がパンパンになって具合も悪くなってしまったのだ。
もうそろそろ二郎は卒業する日が近いのかもしれない。二郎に限らずラーメンは塩分過多なので、健康のためには控えたほうがいいのだが…
最近はお腹が空かないため、欠食も増えてきた。若い時はたくさん食べられたのに、年齢には勝てないと思う。
しかし、これではいけないと思い、医師と相談しながら食事内容を変えることにしたのだ。
年齢を重ねると食事が細くなる理由
食が細くなる理由は加齢による体の機能の変化にある。どのような変化があるのだろう。
胃の機能の低下
年齢を重ねると、胃の弾力性が低下していく。弾力性が下がると食べたものが胃に入ってきても十分に広がらなくなり、以前と同じように食べることができなくなる。
また、脂っこい食べ物は胃での分解が難しくなるため、胃もたれの様な不快感があり、食べられなくなるのだ。
さらに、胃から小腸へ食べ物を送る蠕動(ぜんどう)運動も低下するため、消化に時間がかかる。そのため、食べ物が胃にとどまり、お腹が減らない。
胃の中に食べ物が残ったままだと、胃酸過多にもなってしまうのだ。
特に気をつけたい逆流性食道炎
年齢を重ねると胃だけではなく、食道の機能も落ちてしまう。他の臓器と比べて、変化は小さいものの蠕動運動は弱くなり、括約筋の衰えにより食道と胃をつなぐ場所が閉じにくくなってしまう。
胃酸過多になってしまうと、胃から食道へ胃酸が逆流することがある。これによって起こるのが逆流性食道炎。むかつく感じや胸やけは、この逆流性食道炎が原因であることも多い。
気をつけたい食事のポイント
胃腸の機能低下によって食事量が減ることはある程度仕方のないことである。しかし、あまり食べてないと栄養不足となり、筋力低下や痩せすぎによる体調不良につながってしまう。
食事量は無理なく、バランスに気を付けて必要な栄養素をしっかりとるようにしたい。
欠食はしない
食べ過ぎた翌日、調整するために欠食するのは問題ないが、欠食が続くと必要な栄養が不足してしまう。その結果、体力が落ちて動かなくなる、食べたものがエネルギーにならない、ため込みやすくなる、お腹がすかないという負のスパイラルに陥ってしまうのだ。
夜になって、後は寝るだけの状況であっても、寝ている間に細胞の修復やホルモンの生成が行われているので、必要な栄養素を補いようにしたい。
タンパク質や野菜を摂るのが理想だが、3色食べられるようになるまで、うどんやおかゆ、汁物など食べやすいもので調節しよう。
朝食はタンパク質を摂る
栄養素の観点からみるとタンパク質の摂取は大切だ。特に年齢を重ねると筋肉量が減っていくので、意識してタンパク質を摂りたい。
タンパク質は筋肉や皮膚、髪の毛といった体の目に触れる部分を作るだけではなく、セロトニンやドーパミンといった気持ちを左右する脳内物質の主原料になっている。
タンパク質が不足すると、やる気がなくなったり、落ち込んだりと心のバランスを崩してしまう恐れもある。
朝食に卵やツナ、納豆など1品をプラスするようにして、意識して摂るようにしよう。
夕食は消化の良いものを
就寝3時間前の食事は、胃腸に負担がかかり睡眠の質を悪くしてしまうので、消化の良いものを選びたい。生野菜を使ったサラダではなく、熱を通した温野菜にするのも消化を良くする方法だ。
よく噛む
食事の基本である噛むことは大切だ。よく噛むことで唾液の分泌が良くなり、食べた物が細かくなるので、胃腸の負担を抑えられる。野菜は繊維を切るようにカットすると食べやすくなる。
よく嚙むことで血糖値の上昇を緩やかにし、満腹感も高まり、ストレス緩和に効果が期待できるそうだ。1口20回以上噛むことが理想だが、慣れるまでは1口食べたら箸を置くのがおすすめである。
刺激物や脂っこいものは控える
刺激物や炭酸飲料、カフェイン、アルコールは胃の負担になってしまうため控えたい。飲み物は水やノンカフェインのお茶を中心にしよう。
脂質は消化に時間がかかるため、揚げ物や脂ののった肉も控えたい。特に夕食は要注意。就寝3時間以内の食事は脂肪の少ないささみや赤身肉、白身魚、大豆食品からタンパク質を摂るようにしよう。
調理方法も煮る、蒸す、ゆでるを選び、焼く場合は油を控え目にするなど、工夫して調理したい。
糖質制限はしない
近年、ダイエット方法として糖質制限が話題になっている。糖分の摂りすぎはよくないので、糖質制限は理にかなっているかもしれない。
しかし糖質制限は一時的な減量に適しているが、過度に行い、肉類を多く摂ると高血糖や高コレステロールになるケースが目立っている。
肉類があまり食べられなくなり、糖質制限を行うと食事量やカロリーが減ってしまい、かえって健康に悪影響となってしまう。
定番メニューに変化を
毎日の献立や食事内容を考えるのは面倒である。ただ、同じものを食べ続けないことも体作りをする上で重要なのだ。同じものを食べていると必然的に栄養が偏り、栄養不足につながってしまう。
特に男性は、同じ店、同じメニューを選びがち。ダイエットにしてもこれがベストだと思うと、ずっとそれを食べ続けてしまう傾向にある。しかし、栄養補給という観点でみるとさまざまな食材を摂るのが大切だ。
タンパク質といっても、鶏肉や卵だけではなく、牛肉や豚肉、魚、貝類、大豆、乳製品など色々あるのだから。
朝はどうしても定番化しがちなので、せめてランチは昨日と違うものを食べる、居酒屋で2品頼むなら1品は好きなもの、もう1品は普段食べないものにするなど、同じものを食べないことも習慣化したい。
食欲がない時におすすめしたい食べ物
対策を取っていても、お腹が空かないこともあり、食欲がどうしても湧かなければ無理して食べなくてもよい。しかし、栄養不足とならないために栄養を補い体に優しい食事を摂るようにしよう。
低カロリーで温かいもの
胃腸にやさしい食材として低カロリーで温かいものがおすすめ。みそ汁やかきたま汁、野菜スープ、雑炊など。
食欲不振の時は消化器官の機能が落ちていると考えられる。その場合、できるだけ胃腸に負担がかからないよう、低カロリーメニューを選ぶようにしよう。
薬味やスパイスで食欲増進
薬味やスパイスには食欲増進の効果がある。コショウやカレー粉、ショウガ、唐辛子、ねぎなど。
これらの食材は食欲増進を期待できる。冷奴に薬味としてショウガやねぎをトッピングしたり、おかずにカレー粉を足してカレー風味にすると使いやすくなる。
ただし、これらの食材を摂りすぎると胃腸が荒れてしまうので適量を心がけよう。
唾液や胃酸の分泌を促す酸味や水分の多い食材
酸味のあるものや水分の多い野菜を利用しよう。レモン、梅干し、お酢、トマト、きゅうり、レタスなど
唾液や胃酸の分泌を促し、消化を助けてくれる。また、水分の多い野菜はあっさりしたメニューと相性が良いので、食べやすいという点も挙げられる。
注意点としてレモンやお酢を使った酸味の強い食品は適量であれば問題ないが、過度な摂取は胃腸にダメージを与えてしまうので、摂取量には注意したい。
食べていないのに太ることも
食べる量が減っているのにもかかわらず、なぜか太ってしまうことがある。これは栄養不足により、体が脂肪をため込みやすくなったり、カロリーを消費しにくくなったりしているかもしれない。
体重が増えるメカニズムは摂取カロリーが消費カロリーを上回っているから。摂取カロリーが極端に減ってしまうと体は飢餓状態だと判断してしまい、エネルギー源として体に脂肪をため込もうとして、カロリーを消費しにくくなる。
体重を減らすために消費カロリーを増やしたいのに、そうでなければ痩せづらくなってしまう。痩せるためには摂取カロリーだけではなく、消費カロリーも考えなければならないのだ。
筋肉量を増やせば消費カロリーも増える
人間の1日当たりの消費カロリーは基礎代謝が大半を占めている。基礎代謝とは呼吸、心臓の拍動、体温維持、内臓の動きなど、1日中寝ていても消費される、生命維持のためのエネルギーのことだ。
基礎代謝は年齢や性別、体表面積によって異なるが、成人男性の場合1500kcalとされている。基礎代謝を増やすことで運動をしなくても消費できるカロリーを増やし、太りにくく痩せやすい体を作ることができるのだ。
基礎代謝量の多い組織のひとつである筋肉は、使わないと1年で1%減ってしまう。筋肉量が減ると基礎代謝が落ち、脂肪が増え、太ってしまうのだ。
基礎代謝を上げるには、大きな筋肉を育てる必要がある。大きい筋肉とはお腹(腹直筋、腹斜筋)、背中(広背筋)、お尻(大殿筋)、太もも(大腿四頭筋、ハムストリング)を指す。
特に下半身のお尻と太ももは全身の筋肉の約50%を占めるため、優先的に鍛えたい筋肉だ。
鍛え方としておすすめなのがスクワットである。1日1回から初めて、回数を増やしていけば10日で10回、30日で30回と続けていこう。回数ではなく、バテるまでやれば筋量はアップしていく。
スクワットの正しいやり方
- 足を肩幅に開く
- つま先は膝と同じ方向に
- 太ももと床が平行になるまでお尻を下げる
- お尻の力を抜かずにゆっくり元の位置に戻す
筋トレ後はプロテインを飲もう
筋トレ後、プロテインを飲むことがおすすめ。肉や魚、大豆類を食べなかったとき、間食として飲んでもいいだろう。ただし、食事で摂取量目安(65g)が摂れていれば無理に飲まなくてもよい。
基礎代謝のアップには睡眠も大切
基礎代謝を上げるにはよく寝ることも大切だ。疲労回復や筋肉の再生が行われ、運動の効率が上がり、基礎代謝のアップにもなる。睡眠は7~8時間を目安にしっかりとろう。